2025年5月12日、欧州連合(EU)は公式に委任規則(EU)2025/868を発表し、中鎖塩素化パラフィン(MCCPs)、毒死蜱(Chlorpyrifos)、長鎖全フッ素カルボン酸類(LC-PFCAs)の3物質について、ストックホルム条約(POPs条約)附属書Aへの追加に同意したことを明らかにしました。これらの決定は、2025年4月末にナイロビで開催された第12回締約国会議(COP12)での採択内容を受けたものであり、EUは国際的な規制強化に正式に賛同した形です。
対象物質と決定の要点
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MCCPs(中鎖塩素化パラフィン)
炭素数C14–C17かつ塩素含有率が45%以上のMCCPsが対象となり、附属書Aに追加されました。可塑剤や難燃剤として幅広く利用されてきましたが、環境中での残留性と毒性が問題視されています。なお、防衛・航空宇宙関連の一部用途に限り、最大2041年までの特定免除が承認されています。 -
毒死蜱(Chlorpyrifos)
広範囲の農業・衛生害虫に効果をもつ有機リン系殺虫剤であり、特に水生生物への毒性が高いとされています。附属書Aへの追加とともに、植物防除や家畜の寄生虫対策等における22件の時間限定免除が採択されました。 -
LC-PFCAs(長鎖全フッ素カルボン酸及びその塩・関連化合物)
耐水・耐油・耐熱性の高さから繊維、食品包装、電子機器、金属加工、消防泡沫等で使用されています。これらの物質群は附属書Aに一括で追加され、一部用途に対しては条件付きで特定免除が認められました。
EUの対応と今後の影響
今回のEUによる同意は、国際的なPOPs規制の方向性を強く後押しするものです。MCCPsおよびLC-PFCAsは工業製品や電子機器等の広範な分野で用いられており、該当製品を取り扱う企業は供給網や使用材料の見直しを迫られる可能性があります。
また、毒死蜱は天然素材に残留しやすく、農産品を使用する製品・原料の安全性評価においても注意が必要です。
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