2025年6月、米国環境保護庁(EPA)は、有害物質規制法(TSCA)セクション8(d) に基づく報告義務に関連し、対象16物質に関する未公表の健康・安全データの提出期限を2026年5月22日まで延長しました。

当初、対象16物質の提出期限はビニルクロライドが2025年6月11日、それ以外が2025年9月9日とされていましたが、EPAはその後、全ての物質について2026年5月22日までの提出に統一する最終延長を決定しました。

今回の措置により、企業には追加の準備期間が与えられましたが、提出が不要になるわけではありません。むしろ、データの精度と透明性が一層重視される局面に入ったといえます。

 

期限延長の背景

  • 2024年12月:EPAが未公表データ提出を義務づける最終規則を発表
  • 2025年3月:物質ごとに一部期限を延長
  • 2025年6月:全16物質の期限を統一し、2026年5月に延長

この延長により、EPAは企業からの提出テンプレート形成やCBI(機密情報)対応ガイダンスの整備に十分な時間を確保し、より円滑で質の高いデータ収集を目指しています。

 

分析データか果たす役割

この報告義務では、以下のようなデータの提出が求められます:

  • 物理化学的性質
  • 健康影響に関する試験データ(毒性、曝露など)
  • 生態影響に関するデータ

未公表データの整理や新たな試験の実施は、すべて分析作業が基盤となります。EPAによるリスク評価や規制決定の精度は、提出される分析データの質に直結します。

 

企業が今から取り組むべきこと

  1. 社内データの棚卸し
    過去の試験・分析データを洗い出し、提出対象に該当するものを整理。
  2. データギャップの確認
    不足している物性データや毒性試験項目を明確化。
  3. 提出フォーマットに対応した整備
    EPAのテンプレート公開に備え、早めにデータを整形。
  4. 信頼できる外部分析機関との連携
    短期間で大量のデータを準備する際には、外部の試験・分析サービスを有効に活用。

 

まとめ

今回の延長は、企業にとって提出準備を万全にするための貴重な猶予期間です。 しかし猶予は有限であり、科学的に裏付けられた分析データの整備なくして、確実なコンプライアンスは実現できません。

今のうちにデータ整理と不足項目の分析計画を立てることで、来年以降のEPA対応をスムーズに進めることができます。

 

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