2025年8月12日、トルコ環境・都市計画・気候変動省(MoEUCC)は「KKDIK実施手続きと細則」を公布しました。これにより、化学物質登録の遅れを解消し、制度運用を加速させることを目的としています。
背景
化学工業はトルコ第2位の輸出産業であり、多くの産業にとって戦略的に重要です。しかし、2017年のKKDIK施行以来、リード登録者制度(LR)の不透明さやデータ共有コストの高さが障壁となり、登録が停滞していました。今回の細則は、EU REACHの初期段階での課題を踏まえつつ、改善策を盛り込んでいます。
主な改正内容
- 予備登録期限の再設定
- 既存物質:2025年10月31日までに予備登録が必須
- 新規物質:市場投入後30日以内に予備登録
- リード登録者(LR)の選定ルール
- 既登録物質:2025年12月31日までに決定
- 新規物質:市場投入から6か月以内に決定
- 立候補がない場合、当局と商工会議所が最大規模の企業を指定
- 中間登録の導入
- 予備登録と正式登録の間に設けられる移行措置
- 提出期限:LRは2026年3月31日まで、共同登録者は2026年9月30日まで
- 要求データは物理化学的性質に限定、毒性・生態毒性データは後回し
- 正式登録の延長申請制度
- 各トン数区分ごとの期限までにデータ補完が必須
- 間に合わない場合は延長申請が省の判断により認められる場合がある(最長2年)
- 専門グループの設立
- 政府職員と大学研究者による「化学品科学グループ」と「コンサルティンググループ」を新設
- 化学品管理や安全評価をサポート
分析と企業への影響
トルコ版REACH(KKDIK)では、物理化学的性質データや成分分析が登録の基盤となります。今回の「中間登録」では毒性試験が不要とされていますが、正式登録時には追加の分析データ提出が不可欠です。
企業にとっての対応ポイント:
- データギャップ分析を行い、不足する試験・分析項目を早期に把握する
- 物理化学データを揃える
- 正式登録に向け、毒性・生態毒性試験の準備も進めておく
まとめ
KKDIK制度は、中小企業にとって依然として負担の大きい規制ですが、トルコ政府は段階的な手続き(予備登録 → 中間登録 → 正式登録)を導入することで、実効性を高めようとしています。
化学物質の登録は単なる書類作成ではなく、科学的に裏付けられた分析データの提出が不可欠です。各企業は余裕を持って準備を進め、規制対応と同時に市場競争力の維持につなげる必要があります。
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