オーストラリア政府は、オゾン層保護と気候変動対策の一環として、合成温室効果ガス(SGGs)とオゾン層破壊物質(ODS)の輸入・使用規制を強化しています。最近、冷媒R410aを含む機器の違法輸入に対し罰金(18,780豪ドル)が科され、規制の厳格な運用が改めて注目されています。
違法輸入の背景:冷媒R410aとは?
R410aは、HFC-32とHFC-125を1:1で混合した合成冷媒で、主にエアコンや冷凍設備に使用されています。塩素を含まないためオゾン層には無害ですが、地球温暖化係数(GWP)が非常に高いため、気候変動対策上は重大な対象物質とされています。
規制の法的枠組み:「オゾン保護と合成温室効果ガス管理法1989」
この法律は、以下の国際条約を履行するための国内制度です:
- ウィーン条約
- モントリオール議定書
これに基づき、オーストラリアでは以下のような枠組みが導入されています:
- ライセンス制度(生産・輸入・使用)
- 割当量制度
- 業界ガイドラインやラベリング要件
- 関税・税関との連携検査体制
「予定物質」とは?
法律に基づく管理対象物質は以下の2カテゴリに分類され、すべてが輸出入・使用・廃棄において厳格に規制されています。
1. オゾン層破壊物質(ODS)
代表例:
- CFC-11、CFC-12(冷媒)
- ハロン類(消防用途)
- HCFC-22(移行期冷媒)
- メチルブロマイド(燻蒸剤)
2. 合成温室効果ガス(SGGs)
代表例:
- HFC-134a、R410a、HFC-32(冷凍・空調)
- SF6(高圧機器)
- NF3(半導体製造)
企業向け:輸出入時の注意点
今回の罰則は、ライセンス未取得のまま冷媒を含む機器を輸入したことが原因です。特に空調・冷凍機器を扱う企業にとって、以下の対応が求められます:
- 製品に含まれる冷媒の確認
輸入前に、製品がR410aなどの管理物質を含んでいないかを確実に確認しましょう。 - 必要なライセンスの取得
対象物質を含む機器は、輸入前にDCCEEWの許可(ライセンス)が必要です。 - サプライヤーとの情報共有
上流のメーカー・輸出業者と連携し、冷媒成分の情報提供を徹底することが重要です。 - 社内プロセスの見直し
社内の調達・輸入フローにコンプライアンスチェック機能を組み込み、違反リスクを事前に排除しましょう。
まとめ
気候変動対策と環境保護の強化を背景に、合成温室効果ガスの規制は今後も確実に拡大していきます。輸出入業務においては、分析結果に基づいた化学物質の確認とライセンス対応が今後の鍵となるでしょう。
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