デンマーク環境省は、2025年5月2日に発表した規制で、衣料品・履物・防水剤に含まれるPFAS(有機フッ素化合物)の輸入および販売を禁止する方針を打ち出しました。規制は2025年7月に発効し、2026年7月1日から本格施行される見込みです。
この規制は、消費者製品を通じたPFAS曝露を削減することを目的としており、欧州域内でも先駆的な動きです。 さらに、繊維・履物・防水剤という日常性の高い製品を対象とすることで、PFAS規制の「次の波」が来ていることを示しています。
規制の主な内容と範囲
対象製品
- 衣料品・履物:フッ素含有量が 50 mg/kg以上(フッ素として換算) のすべての消費者向け製品が対象
- 特定の防水・インパグネーション剤:繊維や靴用のスプレー防水剤など、消費者向け防水処理剤(consumer use impregnation agents)において、同じく50mg F/kgを超えるPFASを含むものが対象
- 追加情報として、子ども用衣料やアウトドア・スポーツ用機能衣類も明記されており、消費者製品としての露出リスクに配慮しています
除外対象
- 再利用・リペア目的の中古衣料・履物
- 個人用防護具(PPE)で、化学・生物・高温防護など用途にPFASが不可欠なもの
- 医療機器および体外診断機器
- 輸送中の貨物で、デンマーク市場には販売されないもの
経過措置
- 現在流通している在庫は 2027年1月1日まで販売可
- また、PFASの代替が技術的・安全上困難と認められる特定用途については、2026年3月31日までに個別申請を行えば例外が認められる可能性があります
- 子ども用衣料やスポーツ用の特殊用途についても、代替技術の成熟時期を考慮した猶予期間の設定案が報じられています
罰則
違反した場合、罰金に加え、重大な健康・環境被害が生じた際には最長2年の懲役の可能性があります。監督強化が明示されています
分析との関連・補足すべきポイント
- 分析感度の課題:50 mg/kgの閾値に対応するため、低検出限界の分析法(例:LC-MS/MS、GC-MS)や前処理技術が重要となります
- 用途別リスク評価:子ども用衣料、スポーツ用衣類、アウトドア製品など対象用途が拡大したことで、用途ごとに異なる含有リスクの確認が必要です
- 代替素材の分析支援:PFAS含有を規制されることで、代替化合物や無フッ素処理の効果検証が分析サービスの新たなニーズとなります
- サプライチェーンでの含有量モニタリング:完成品だけでなく原材料・中間材段階からの検査体制構築が、コンプライアンスと信頼性確保に不可欠です
まとめ
デンマークのPFAS禁止規制は、繊維・履物・防水剤市場において大きな転換点です。 企業は、製品中のPFAS含有実態を早期に把握し、代替技術や管理体制を整える必要があります。
特に分析分野では、高感度定量分析、用途別含有リスク評価、代替素材試験などが今後の対応において一層注目される領域です。
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