2025年10月末、インドネシア食品医薬監督庁(BPOM:Badan Pengawas Obat dan Makanan)は、現行の「食品包装に関する規則(Peraturan BPOM No. 20 Tahun 2019)」を改正・置き換える草案を公表しました。

この新しいドラフト規制「Rancangan Peraturan BPOM Tentang Kemasan Pangan」では、食品接触材料の管理体系を全面的に見直し、より厳格で国際整合的な基準を導入する方針が示されています。

 

主な改定ポイント(案時点)

対象範囲の明確化

新草案では、対象となる食品接触材料を明確に分類しています。 プラスチック、ゴム・エラストマー、紙・段ボール、セラミック、ガラス、金属・合金、多層材料など、主要な材質グループが具体的に列挙されました。 この分類は、EUやASEANのガイドラインとの整合を意識したものとみられます。

移行限度(Migration Limits)の設定

附属書において、総移行量(OM:Overall Migration)および特定移行量(SM:Specific Migration)が明確に定義されています。例:

  • プラスチック製FCM:OM 60 mg/kg または 10 mg/dm²
  • 鉛(Pb):SM 0.05 mg/kg
  • カドミウム(Cd):検出されない(LOD 0.002 mg/kg)

これらの数値は、SGSおよびTÜV等の国際分析機関が報じたドラフト内容と一致しています。

許可・禁止物質リスト(Positive/Prohibited List)

  • Positive List:115 物質に移行限度が付与され、さらに1,300 以上の物質が移行限度なしでリスト化
  • Prohibited List:142 物質が掲載され、食品包装への使用を禁止
  • 特筆すべき点として、PFAS 44 物質が許可リストから削除されたことが報じられています。 (※これらの数値は2025年10月時点のドラフト段階に基づくものです。)

再利用・リサイクル材の管理

再利用可能な包装材やリサイクル由来材料に関しても、製造基準・試験方法・衛生要件が別途附属書で定義されています。 特に、再生プラスチックの品質確保とトレーサビリティに関する要件が新設されています。

移行期間(Transitional Period)

BPOM案では、旧規則(第20号/2019年)からの切替え猶予期間を5年間と規定しています。 制定日から起算して5年以内に新基準へ適合させる必要があるとされています。 (施行時期は正式公布後に確定予定)

 

まとめ

本改正案により、インドネシアでは食品接触材料の安全基準・管理枠組みが大幅に強化される見込みです。 企業や試験機関は、以下の対応を早期に進めることが推奨されます。

  1. 材料中の含有物質・移行量の分析体制を整備する
  2. Positive/Prohibited Listを参照し、自社材料の適合性を確認する
  3. 施行猶予期間内(5年)に必要なラベル・書類の更新計画を立てる

 

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