2025年9月1日、欧州化学品庁(ECHA)は、EU REACH規則に基づき3種類の化学物質を高懸念物質(SVHC)候補として追加する提案に対するパブリックコンサルテーションを開始しました。意見提出期限は2025年10月16日です。
SVHC候補となった3物質
- 4,4'-[2,2,2-trifluoro-1-(trifluoromethyl)ethylidene]diphenol 及びその塩類
- 理由:生殖毒性(REACH第57条c)
- 4,4'-methylenediphenol(EC 210-658-2 / CAS 620-92-8
- 理由:生殖毒性(第57条c)
- n-ヘキサン(EC 203-777-6 / CAS 110-54-3)
- 理由:反復ばく露による標的臓器毒性(第57条f ― 人の健康)
SVHCに指定された場合の企業の義務
- 単体で販売する場合:SDS(安全データシート)の提供義務
- 混合物がCLPで危険分類に該当する場合 → SDSの自動提供が必須(Art.31(1)(a))
- 混合物が危険分類に該当しない場合でも、SVHCを0.1%以上含む等の条件に該当すれば、『相手先から請求があったときに』SDSを提供(Art.31(3)(b))
- 成形品(articles)の場合:
- 含有量が0.1%を超えると、下流ユーザーや消費者から請求があった際に45日以内に無償で情報提供
- 年間輸出量が1トンを超える場合は6か月以内にECHAへ届出
- 2021年1月以降は、EU廃棄物枠組み指令(WFD)に従い、SCIPデータベースへの通知義務
SVHCは一般的に、CMR物質(発がん性・変異原性・生殖毒性)、PBT(難分解・蓄積性・毒性)、vPvB(極めて難分解かつ高蓄積)、内分泌かく乱作用物質などが対象。一度SVHCに指定されると、将来的にREACH認可リスト(附属書XIV)に追加される可能性が高まります。
まとめ
今回のSVHC候補追加の提案は、企業に対し改めて成分分析とデータ管理の徹底を求めています。製品が規制対象となる可能性を見据え、今のうちから分析データを整備し、情報開示や届出に備えることが、EU市場での安定的な事業継続につながります。
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