2025年9月16日、中国全国人民代表大会常務委員会は、危険化学品安全法(二次審議稿)を公開しました。本法は、製造から輸送、使用、貯蔵まで危険化学品の全ライフサイクルを対象とし、安全管理を強化することを目的としています。
改正の背景
- 中国は危険化学品の主要な生産・消費国であり、事故防止と環境保護の観点から包括的な法律整備が求められてきました
- 既存制度では供給網全体をカバーしきれず、より専門的かつ厳格な規制が必要とされていました
主なポイント
全般規定
- 企業は全従業員に安全責任体制を徹底し、リスク評価・隠れた危険の点検を義務化
- 国家が禁止する危険化学品は生産・使用・取引禁止
- 違反や危険を発見した場合、誰でも通報可能
計画と立地
- 化学工業団地は省・自治体レベルで指定し、3年ごとにリスク評価を実施
- 学校や住宅地との距離は国家基準を順守
生産・貯蔵
- 配管の明示、定期点検を義務化
- 生産には安全生産ライセンスが必須
- 製造・輸入業者は中国語のSDSとラベルを添付
使用
- 一定量以上の危険化学品を使用する企業は使用ライセンスが必要
- 作業現場にはSDSとラベルを備え、従業員教育・緊急対応訓練を実施
流通・輸送
- 危険化学品取引にはライセンス必須
- 陸上・水路輸送には市場監督当局への登録および輸送許可が必要
登録と情報管理
- 製造・輸入業者は、分類・ラベル、物理化学的性質、用途、危険特性、緊急対応措置などを登録機関に提出
緊急対応
- 事故時には現場責任者が即時に生産停止と避難を指示できる権限を明文化
法的責任
- 違反行為には、製品や利益の没収、罰金、業務停止命令が科される
まとめ
「危険化学品安全法(二次審議稿)」は、供給網全体にわたる包括的な規制を導入しようとしています。企業は今後、規制対応だけでなく、分析に基づくデータ管理体制を整えることで、法遵守と安全確保の両立を実現する必要があります。
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