インド標準規格局(BIS)は、重工業製品に対する包括的技術規制(OTR: Omnibus Technical Regulation)を導入する中で、企業が準拠しやすいよう認証プロセスのガイドラインを整備しました。ここではその最新動向と申請手続きのポイントを簡潔に解説します。
OTR導入までの課題
2025年4月29日、インド重工業省が初の技術委員会会議を開催し、業界団体や企業からOTR導入の延期要請が多数出されました。主な理由は、以下のようなガイドラインの欠如です:
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標準作業手順(SOP)
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よくある質問(FAQ)
- 透明な試験・登録プロセスの説明
企業は、申請方法や文書要件が不明確なまま準備を強いられ、大きな混乱が生じていました。
認証ガイドラインの正式発表(2025年7月)
BISは、OTRに基づく「スキーム-X認証」のための詳細なガイドラインを2025年7月11日に公開しました。これは特に重機や設備のメーカー向けで、以下を明示しています:
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申請プロセス
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技術文書の要件
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試験手順と評価
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適合証明の流れ
このガイドラインは、「2018年インド標準局(適合性評価)規則」に準拠しています。
取得できる認証の種類
企業は次のいずれかの証明書を申請可能です:
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ライセンス:長期的に標準マークを使用できる
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適合性証明書(CoC):特定のプロトタイプやロット製品向け
申請時に必要な書類
申請には以下の技術資料が求められます:
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製造施設の詳細(レイアウト、プロセス、設計図など)
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試験設備・精度・校正状況
- 製品適合性レポート(以下を含む):
- ハザード対策と安全設計
- 各種安全機能図(回路、接地、油圧等
- 安全検証結果(SRP/CS
試験報告書の取得方法
試験は以下のいずれかで実施可能です:
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自社ラボ
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BISが承認した外部ラボ
認証申請のステップ
- 事前登録(OTRポータル)
適用される規格(A/B/C類)を確認し、BISと協議 - 初回申請
製品詳細、試験報告書、工場レイアウトなどを提出 - 書類審査(BIS窓口)
不備がある場合は期限内に修正提出 - 現場審査の手配
BIS審査員2名が4営業日程度で実施 - 製造現場での審査
提出内容との一致および適合性を確認 - 審査報告書の作成
指摘事項をまとめ、申請者に通知 - 証明書発行
要件を満たせば、ライセンスまたはCoCを発行 - 保証書の提出
合意書(フォームV)、補償保証書(フォームVI)、および10,000米ドル相当の履行保証書を提出(ライセンス有効期間+6ヶ月の効力) - ライセンス使用と更新
有効期間内に使用し、期限前に更新申請が必要
まとめ
OTR導入により、インド国内の重工業製品に対する規制と品質評価が厳格になりますが、BISの新たなガイドラインにより、企業が必要な準備を進めやすくなりました。今後インド市場での展開を考える企業にとって、本認証制度の理解と対応は不可欠です。
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