2025年5月30日、中華人民共和国国家市場監督管理総局が強制国家標準「塗料中有害物質限量 第2部:工業塗料」(GB 30981.2‑2025)を公布しました。これにより、木器、車体、玩具、船舶用途の旧基準が統合され、2026年6月1日から施行されます。
改訂ポイント
- 標準体系の統合と分類整理
- 以下旧基準を GB 30981.2‑2025 に統合: 木器(GB 18581‑2020)/車両(GB 24409‑2020)/玩具(GB 24613‑2009)/工業防護(GB 30981‑2020)/船舶(GB 38469‑2019
- 製品分類は、“W型(水性)”、“S型(溶剤)”、“F型(無溶剤)”、“R型(放射線硬化)”、“P型(粉末)”、“A型(補助材料)”の6カテゴリに整理
- 新たに、「人体と密接に接触する消費財用塗料」(玩具、家具など)へ、より厳しい規制を導入
- 技術指標の強化
- VOC含有量の上限が用途別に厳格化:
- 水性木器塗料:色漆 ≤ 250g/L、清漆 ≤ 300g/L
- 溶剤型乗用車用塗料:上限 750g/L(旧基準より約10%引き下げ)
- 無溶剤塗料:一律 ≤ 100g/L
- 放射線硬化型:用途別に150~550g/Lの範囲
- SVOC(揮発性半有機化合物)初めて対象に:
- 水性木器塗料の色漆 ≤ 100g/L、清漆 ≤ 150g/L
- その他、有害物質の制限:
- シブトラミン(船舶防汚塗料で禁止)、アスベスト(非検出義務)、
- フタル酸エステル(接触塗料で ≤ 0.1%)、APEO類、
- 重金属(接触塗料で Pb ≤ 90 mg/kg、Cd ≤ 75 mg/kg、Cr⁶⁺ ≤ 8 mg/kg)
- VOC含有量の上限が用途別に厳格化:
- 検査と表示の詳細化
- 型式検査頻度:船舶塗料は2年ごと、その他は年1回の検査義務
- 多成分塗料は施工配合比で混合検査し、硬化剤なども個別評価
- 危害性マーク:
- 接触塗料(玩具・木器など)では包装に明記必須
- その他も包装または取扱説明書への記載が必要
- 表示例:製品コード、モデル(例 “S型”=溶剤型)、Pb含有量、接触可能(C)/不可(NC)など
企業向けアクション(推奨対応)
- 配合調整:新規SVOCやフタル酸エステルの検査対象化に伴い、原材料・助剤の見直しが必要
- 検査連携:サードパーティ試験機関と事前に対応内容とコストを確認
- 表示設計変更:新たな包装・ラベル形式(C/NC分類)への更新を検討
- 移行期間の活用:2026年6月1日施行※までに準備を完了(移行期間は約1年) ※国家標準の公布は2025年5月30日
まとめ
GB 30981.2‑2025は、塗料に含まれる有害物質の管理を強化し、各用途・製品カテゴリに対して明確な分類と制限値を設定しています。従来の規格を統合したことで、今後は一層の品質・安全性が求められ、企業には製品設計・表示・検査体制の見直しが急務です。2026年施行に向け、早めの対応が不可欠です。
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