プラスチックは生活に不可欠な素材ですが、分解しにくいため、深刻な環境問題を引き起こしています。毎年1,000万トン以上の廃プラスチックが自然に流出し、生態系や土壌に悪影響を及ぼしています。
この問題に対し、国際社会はプラスチックの使用削減・回収・再生の推進に取り組んでおり、クローズドループ(循環型)管理が重要視されています。
各国の法規制と推進策
持続可能な開発の概念が広く浸透するにつれ、世界各国の政府はプラスチックリサイクルに関する一連の規制や基準を発表し、プラスチックの収集とリサイクルのプロセスを標準化し、リサイクル材の使用を促進しています。
EU
EUの「包装・包装廃棄物規則(PPWR)」では、再生プラスチックの使用目標が設定されています。例として、飲料ボトルには2030年までに30%、2040年までに65%の再生材を使用する必要があります。
ベルギーでは、再生材が30%以上含まれる商業・工業用包装に対し、1トンあたり50ユーロの環境費用が減免。スペインでは、再生プラスチック部分がプラスチック税の課税対象外となっています。
アメリカ
アメリカでは州単位で再生材の使用が法制化されています。
- ニュージャージー州では、2024年以降、硬質プラスチック容器や飲料ボトル、買い物袋、ゴミ袋などに対し、再生材の最低使用率が義務化されました。飲料容器は2024年に15%、以降3年ごとに5%ずつ引き上げ、2045年までに50%の達成が求められています。ホット充填容器は30%が目標です。
- カリフォルニア州は2020年のAB 793法により、2022年から再生材の使用義務を導入。飲料ボトルには2022年に15%、2025年に25%、2030年には50%以上の再生プラスチックを使用することが義務付けられています。これは全米で最も厳しい基準の一つです。
中国
中国政府は「第14次五カ年計画プラスチック汚染対策行動計画(2021〜2025)」で、プラスチック廃棄物の回収・再生・再利用の体制強化を打ち出しました。具体的には、農業用フィルムや使い捨て製品などを重点対象とし、段階的な使用禁止・制限措置が進められています。
さらに、2025年の政府活動報告では「廃棄物資源化と再生材利用の推進」が明記され、グリーン消費インセンティブ制度や、低炭素なライフスタイルの普及が国家戦略として強調されています。
地方政府レベルでも積極的な取り組みが行われており、大都市では再生材使用を条件とした入札制度や補助金政策が導入されています。
業界認証の重要性
法規制に加え、業界自らも認証制度を整備。とくにGRSとRCS認証は国際的に認められています。それらの認証は企業にとって、市場競争力を向上させるための重要な手段となっています。
GRS(Global Recycled Standard)
- 再生材20%以上が対象
- 社会的責任・環境・化学管理もカバー
- サプライチェーン全体に認証が必要で、トレーサビリティが確保されます
RCS(Recycled Claim Standard)
- 再生材5%以上が対象
- 主に含有量とトレーサビリティに焦点
これらの認証は製品に環境ラベルを表示する権利を付与し、企業の競争力向上に貢献します。
まとめ
再生プラスチックは、環境対応と産業の進化に不可欠です。GRS/RCS認証は信頼性ある基準を提供し、企業の持続可能な取り組みを証明します。認証の取得は、ブランド力と市場競争力の強化につながり、サプライチェーンの最適化や消費者の環境ニーズにも応える手段となります。
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