2025年7月14日および15日、欧州委員会はEU POPs規則(EU)2019/1021を改正する新たな規則、(EU)2025/1399および(EU)2025/843をそれぞれ公布しました。これにより、ペルフルオロオクタン酸(PFOA)およびその塩類・関連物質に関する一部の適用除外規定が正式に見直され、泡消火薬剤中の該当物質の許容含有量が緩和されました。さらに、UV-328が新たに規則付属書Iの規制対象物質として追加されました。これらの規則は、いずれも公布日から20日後に発効します。
附属書Iにおけるペルフルオロオクタン酸(PFOA)およびその塩類ならびに関連する物質に関する改正
(第4a、4b項が第4項の後に追加され、新たに第11項が追加されました。現行要件の第1、2、5、7、8、9項の免除は維持されます。)
UV-328に関する付属書Iの改訂
物質の背景
PFOA(ペルフルオロオクタン酸)は、非常に高い化学的安定性と撥水・撥油性を持つフッ素系界面活性剤であり、非粘着コーティング、防水・防汚加工衣類、消火用の水成膜泡剤、食品包装など、さまざまな用途で使用されています。
UV-328は、紫外線による変色や劣化を防ぐための紫外線安定剤で、塗料やコーティング剤、PVCやポリエステルなどのプラスチック添加剤として広く用いられています。また、自動車の液晶ディスプレイや計器類、内外装部品の樹脂にも使用されています。
これらの物質は、環境中で分解されにくく、人の健康に悪影響を及ぼす可能性があることから、「ストックホルム条約」付属書A(廃絶)に指定されており、例外的に認められた用途を除き、その製造および使用は全面的に禁止されています。
まとめ
2025年7月に公布されたEU POPs規則の改正により、PFOAの一部使用制限が緩和され、UV-328が新たに規制対象に追加されました。両物質は環境残留性と健康リスクが懸念されており、ストックホルム条約で原則禁止されています。
今後はEU POPs規則の最新動向に十分ご留意のうえ、製品中のPFOAおよびUV-328のスクリーニングと管理を徹底し、EU向け製品についてはこれらの物質に関する規制内容を踏まえて適切に調整・対応されることをおすすめします。また、関連するコンプライアンス義務の確実な履行もあわせてご検討ください。
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