2025年7月14日、英国環境・食糧・農村地域省(Defra)は、UK REACH登録の締切を延期する案について、パブリックコンサルテーションを開始しました(締切:2025年9月8日)。当初の期限は2026年10月に設定されていましたが、現在、期限の延長が予定されています。
延期の背景には、英国政府が新たに開発している「代替移行登録モデル(ATRm)」の導入があります。EU REACHと同様の厳格な要求では、企業に過度なコスト負担が生じるため、コスト削減と効率化を両立させる新制度の整備が進められています。しかし新制度の立法作業が完了するには時間がかかるため、現実に即した対応として延期が提案されています。
政府は3つの延期案を提示しており、その中で「プラン1」を推奨しています。これは、最初の高リスク物質登録に対し3年間の猶予を設け、その後の登録期限を1〜2年おきに設ける案です。
危険性 | トン数 | 現在の締切日 | プラン1 | プラン2 | プラン3 |
・発がん性、変異原性、生殖毒性物質(CMRs):1トン/年以上 ・水生生物に極めて有害な物質(急性または慢性):100トン/年以上 ・SVHCリスト物質(2020.12.31まで) |
1,000トン/年以上 |
2026年10月27日 | 2029年10月27日 | 2029年4月27日 | 2029年4月27日 |
SVHCリスト物質(2023.10.27まで) | 100トン/年以上 | 2026年10月27日 | 2030年10月27日 | 2031年4月 | 2030年4月 |
1-100トン/年 | 2026年10月27日 | 2031年10月27日 | 2033年4月 | 2031年4月 |
この変更により、企業は登録に必要なデータや費用を一時的に保留でき、準備のための時間が確保されます。ただし、DUIN提出やSDS更新などの既存の義務は引き続き有効です。
今回の延期は、英国がEUとは異なる現実的な規制体系を構築する過程の一環です。企業はこの期間を活用して、新制度への理解と対応準備を進めることが重要です。
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