韓国環境部は2024年2月、化学物質の登録および評価等に関する法律(K-REACH)の改正案を発表しました。これは、国民の安全を確保しつつ、企業の規制対応の負担を軽減することを目的としています。主な変更点は、有毒物質をリスクに応じて3つのカテゴリーに細分化し、それぞれ異なる管理方法を適用する点です。この改正は2025年8月7日に正式に施行されます
有毒物質の細分化定義と判定基準
元の物質カテゴリー | 細分類 | 定義 | 判定基準 (いずれか1つを満たせば成立) |
有毒物質 | 人体急性有害物質 | 一次または短期間の暴露により、短期間内に人体健康に悪影響を及ぼす可能性のある化学物質 |
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人体慢性有害物質 | 反復暴露または暴露後潜伏期間を経て、人体健康に悪影響を及ぼす化学物質 |
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生態有害物質 | 短期または長期の暴露により、水生生物等の環境に悪影響を及ぼす化学物質 |
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新たな分類では、「人体急性有害物質」「人体慢性有害物質」「生態有害物質」の3つが定義されました。急性有害物質は短期暴露により人体に害を及ぼす物質で、急性毒性や皮膚腐食性などが該当します。慢性有害物質は反復暴露や潜伏期間を経て健康に悪影響を与えるもので、発がん性や生殖毒性などが含まれます。生態有害物質は、水生生物などに悪影響を及ぼす化学物質が対象です。
2024年7月には、韓国国立化学物質安全院(NICS)によって、これらの新カテゴリーに基づいた初の有害物質リストが公表されました。リストには、各物質がどのカテゴリーに該当するかの詳細と、それぞれに適用される含有量基準が記載されています。
混合物管理に関する変化
混合物の扱いも大きく変わります。たとえば、同じ物質でも混合物中の含有量によって分類が変わるようになります。ニトロベンゼンの場合、含有量が0.3%以上であれば「人体慢性有害物質」とされ、25%以上であれば「人体急性有害物質」と見なされます。
施行日は原則として2025年8月7日ですが、例外としてベンゼンを0.1〜1%含む混合物については2027年8月7日からの適用となります。
企業には、登録済みまたは登録猶予中の物質を他社へ譲渡する際に、安全性に関する情報資料(文書25号、26号、MSDSなど)を提供する義務があります。今回の改正により、それらの資料も新しい分類に合わせて更新が求められます。更新された資料は2026年7月1日までに提供しなければなりません。
まとめ
今回の法改正により、企業はより明確な分類基準に基づいた対応が可能となり、精度の高いリスク評価が実現します。また、差別化された管理体制により、法令対応や顧客要望への柔軟な対応も期待されます。
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