2025年11月18日、欧州化学品庁(ECHA)は、REACH規則の認可リスト(Annex XIV)に追加すべき物質を示した第12次認可リスト追加勧告(12th Recommendation)を更新し、4物質を新たに認可対象候補として提案しました。なお、これら物質はあくまで認可候補(recommended for inclusion)であり、正式なAnnex XIV追加は欧州委員会(EC)が判断します。

 

認可候補として提案された4物質(12th Recommendation)

物質名(EC番号) SVHC該当理由(REACH第57条)
Barium diboron tetroxide(EC 237-222-4) 生殖毒性カテゴリ1B(57(c))
S-(tricyclo[5.2.1.0²,⁶]deca-3-en-8(or9)-yl) O-(isopropyl/isobutyl/2-ethylhexyl) phosphorodithioate(EC 401-850-9) PBT(57(d))
Diphenyl(2,4,6-trimethylbenzoyl) phosphine oxide(TPO)(EC 278-355-8) 生殖毒性カテゴリ1B(57(c))
Melamine(EC 203-615-4) 第57条(f)に相当する懸念(高残留性・高移動性等)

 

背景と意義

今回の勧告は、ECHAがSVHC候補物質の中から、認可(Authorisation)制度による管理を優先すべき物質を選定し、欧州委員会に推奨するプロセスの一環です。

特にメラミンは幅広い用途で使用されており、

  • 中間体用途では免除が適用される場合がある一方、

  • 一般用途では将来的に認可取得が必須となる可能性が高いとみられます。

 

今後の手続き

ECHAの勧告は、Annex XIV追加の最終決定ではありません。今後は欧州委員会が以下を決定します:

  • Annex XIV(認可リスト)に正式追加するかどうか
  • Application date(認可申請期限)
  • Sunset date(認可未取得での使用が禁止される期限)

正式にAnnex XIVへ追加されると、sunset date以降、認可なしでEU域内での製造・使用・上市が禁止されます。

 

まとめ

今回の第12次認可リスト追加勧告は、メラミンを含む4物質が優先的にリスク管理強化の対象として位置付けられたことを示します。

EU市場でこれら物質を扱う企業は以下の対応が重要です:

  • 物質のサプライチェーンでの使用実態の把握
  • 中間体例外の適用可否の確認
  • 認可申請を見据えたデータ整備の準備
  • 代替物質・代替技術の検討

今後の欧州委員会による採択動向を注視する必要があります。

 

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