日本政府(経済産業省・環境省・厚生労働省)は、化学物質審査規制法(CSCL)の一部改正を公布しました。今回の改正は、既存化学物質リストの更新と通知制度の見直しを目的としており、化学物質の安全管理体制を国際基準に合わせるものです。
改正の概要
- 2025年7月31日官報公布:157物質が新たに「既存化学物質リスト(General Chemical Substance List)」に追加されました。これらの物質は、新規化学物質としての届出(登録)義務の対象から除外され、既存化学物質として扱われます。 ただし、他法規やCSCL上の別分類(特定化学物質等)に基づく管理義務は引き続き適用されます。
- 通知・免除制度の整理:閉鎖系用途や中間体など、一部の用途に関する通知義務・免除対象が再整理されました。免除対象から外れた物質もあるため、企業はリストの変更を確認する必要があります。
- 少量・小量申告制度の改定:2025年4月1日施行の改定により、少量(<1トン)・小量(1〜10トン)申告の手続きが電子化され、審査の効率化が図られました。申請はNITEの化学物質管理支援ポータルを通じて電子申請が可能です。
今回の改正は「CSCLの全面改正」ではなく、施行規則・告示の一部改正です。制度の基本構造は維持されており、段階的な運用改善の一環として実施されました。
実務上の影響
- 新たに既存化学物質として追加された物質は、新規登録の対象外となりますが、免除削除によって届出義務が発生するケースもあります。
- 企業は自社で取り扱う物質が既存リストや免除対象に該当するかを再確認し、届出・申告義務の有無を把握することが重要です。
- 少量・小量申告の制度改定により、申請方法や審査スケジュールが変更されています。最新の申請手順は経産省およびNITEの公表資料で確認が必要です。
まとめ
今回の改正は、化学物質管理を国際水準に合わせるための段階的な制度更新であり、企業の法令遵守体制の再点検が求められます。特に、既存化学物質リスト追加(7月31日公布)および少量・小量申告制度改定(4月1日施行)は、直接企業活動に影響するため、早期対応が推奨されます。
なお、本改正の内容は2025年8月時点での官報および関連告示に基づくものであり、今後の追加改定や経過措置の発表に注意が必要です。
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