近年、持続可能な開発と環境保護に対する世界的な関心が高まる中、バイオポリマーは従来のプラスチックに代わるものとして、世界市場で大きなチャンスを秘めている。
バイオポリマーとは?
バイオポリマーには統一された法的定義はありませんが、一般には以下の2つを指します。
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生物(植物・動物・微生物)が直接生産するポリマー
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バイオマス由来のモノマーから合成された高分子(バイオベース合成ポリマーを含む)
共通点は、「再生可能な生物由来」であることです。
米国TSCA(有害物質規制法)の対応
バイオポリマーも通常の化学物質と同様に、TSCAのコンプライアンスが求められ、特別な免除はありません。
判断ステップ:
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TSCA規制対象かどうか(用途から判断)
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TSCAインベントリに収載済かどうか
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新規物質であれば、ポリマー免除の条件を満たすかを確認
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条件を満たさない場合、新規物質届出(PMN、LVE等)が必要
ポリマー免除の主な条件
- ポリマーの定義を満たすこと
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数平均分子量(Mn) とオリゴマー含有量の要件を満たすこと:
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Mnが1,000~10,000:オリゴマー含量・反応性官能基に制限あり
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Mnが10,000以上:オリゴマー含量の要件あり
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除外条件に該当しないこと:
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カチオン性ポリマー
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重金属などを含む
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分解/解体/解重合が可能なポリマー
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TSCAインベントリに収載されておらず、かつ含有量2%超の未収載モノマー使用
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高Mn(≧10,000)の吸水性ポリマー
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パーフルオロアルキル基(例:CF₃)を含む
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※免除対象でも、輸入申告・月次報告・記録保存などは必要です。
バイオポリマー特有の注意点
近年、持続可能な開発の理念(グリーン・フィロソフィー)が広まるにつれ、バイオベースの化学物質の革新的な生産に参入する企業が増えている。微生物発酵化学品を例に、従来の石油系化学品に代わるものを積極的に模索し、市場を持続可能な方向へと推し進めている。 以下では、微生物発酵化学品を例に、TSCA(米国有害物質規制法)におけるバイオポリマーのコンプライアンス上の要点を検討する。
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分解可能だからといって免除されるとは限らない
分解可能ポリマーは逆に「除外条件」に該当し、事前申請が必要になります。
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微生物発酵など、生物由来構造は評価が厳しい
TSCAでは「分子構造」が登録の基準です。発酵ポリマーなどは合成物と同一と見なされにくく、EPAが個別に判断します。
輸入前の確認ポイント
TSCA規制の枠組みの中では、バイオポリマーに対する基本的な要求事項は、一般的なポリマーに対する要求事項と大きな違いはない。しかし、「バイオマテリアル」の「特定の分子構造」の定義が、企業にとって独自のコンプライアンス上の課題となる。
したがって、バイオポリマーの米国への輸入を計画している企業は、自社の製品がポリマー免除の要件を満たしているかどうかを正確に判断する必要がある。新規物質申告が必要な場合、企業は提出前に物質の身元に関する情報を十分に準備・収集することで、TSCAの遵守要件をよりスムーズに満たすことができる。関連情報には以下が含まれます(ただし、これらに限定されるものではありません):
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バイオマスの種類・由来・加工法
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使用する補助材料・化学物質の構成
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製造工程・反応ステップの詳細
市場参入のためのTSCA遵守要件に加えて、企業はバイオポリマー製品について自主的なバイオベース認証を取得することもできる。これにより、ブランドの付加価値が大幅に高まる。中でも、米国農務省(USDA)のバイオベース認証(USDA BioPreferred)は、高い信頼性と認知度を誇るオプションです。
まとめ
バイオポリマーの未来は可能性に満ちており、TSCAコンプライアンスは市場参入の基盤です。加えて、USDA BioPreferred認証のような自主的なバイオベース認証は、製品がただコンプライアンスを遵守するだけではなく、ユニークなブランドストーリーと高い市場評価と繋がります。
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