欧州委員会は2025年4月14日、委任規則(EU)2025/718を公布し、PFOS(ペルフルオロオクタンスルホン酸)に関するPOPs規則を改正しました。

背景

PFOSはPFAS(有機フッ素化合物)の一種で、耐水性・防汚性を理由に幅広い製品(テフロン加工のフライパンなど)に使用されてきましたが、環境中で分解されにくく、生体内に蓄積しやすいため、健康や環境へのリスクが懸念されています。内分泌かく乱作用や発がん性の可能性も指摘されており、各国で厳しい規制対象となっています。

改正の主なポイント

  1. 管理物質名の変更
    「PFOSおよびその誘導体」が「PFOAおよびその塩・関連物質」に名称変更。
  2. 限度値(UTC)の厳格化
    PFOSはEUで最初に規制されたPFASの1つであり、これまで比較的高い意図しない微量汚染物質(UTC)限度値が設定されていました。 しかし、同様の用途を持つPFOAには、より厳しい限度値がすでに適用されており、これは現在の技術水準で有害物質の含有量を抑えることが可能であると判断されたためです。
    この考えに基づき、PFOSの限度値もPFOAと同水準に引き下げられました。具体的には以下のとおりです:
    • PFOSおよびその塩:0.025 mg/kg(0.0000025%)以下
    • PFOS関連化合物の総量:1 mg/kg(0.0001%)以下

    この改正により、製品中にごく微量でもPFOSが含まれている場合、より厳格な管理が求められます。そのため、サプライチェーン全体での成分確認や品質管理体制の強化が急務となります。

  3. 免除規定とCEN方法の削除

  4. 非装飾用硬質クロムめっきでのPFOS使用免除が廃止され、分析方法(CEN)に関する記述も削除。

施行と対応の推奨事項

  • 改正施行日:2025年7月17日
  • 新限度値の適用開始日:2025年12月3日

企業は製品設計や生産工程の見直しを早急に行い、法令遵守体制の強化が必要です。PFOSの規制強化は、PFAS全体に広がる世界的な動きの一部であり、今後も更なる規制が見込まれます。早期対応と代替品の検討がリスク回避に不可欠です。

 

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