ベトナム税関総局は2026年4月14日、各地方税関支局に対し、化学品の輸入通関時における申告要件(特に100%の成分情報の要求)の実施状況およびその法的根拠について説明を求める公文書(第15269/CHQ-GSQL号)を発行しました。

これは、一部の地方税関が突如としてすべての成分のCAS番号や正確な含有率を要求し始めたことで、企業の貿易活動に大きな影響が出ていることを受けた措置です。

 

現場で起きている混乱:地方税関での一貫性のない対応

2026年1月に施行された新政令(第24/2026/ND-CP号、第26/2026/ND-CP号など)に伴い、条件付き化学品や特別管理化学品のリストが大幅に拡大されました。

これを受け、一部の地方税関(ハイテクパーク税関など)では、輸入業者に対して100%の成分開示を厳格に要求し、不遵守の場合には現物検査やサンプリングを行うといった厳しい姿勢をとっています 。一方で、同様の厳しい指示を出していない地方税関もあり、利用する港や税関によって法執行の対応が異なるという、不確実な状況が生まれています。

 

企業が直面する「完全開示」と「ノウハウ保護」のジレンマ

 輸入事業者や海外の製造業者にとって、最も大きな課題は「成分の完全開示」と「企業秘密(知的財産)の保護」との対立です。

  • 海外メーカーの懸念: 独自の処方(配合比率など)の100%を、現地の輸入業者に直接開示することを嫌がるケースが多々あります。
  • MSDSの限界: 安全データシート(MSDS)では、機密保持の観点から詳細な組成データが省略されていることが一般的であり、税関が求める100%開示の要求を満たせないケースが多発しています。

 

提案されている解決策と今後の展望

現在、第2地域税関支局などからは、前駆物質を含む可能性が低い物質を「ホワイトリスト」化して申告を簡素化する案などが税関総局へ提案されています 。しかし、混合物の場合はCAS番号が存在しないケースもあるなど、運用上の課題は依然として残されています。

業界からは、機密性の高い組成データを海外メーカーからベトナム当局へ直接、安全に提出できる独立した「第三者チャネル」の確立などを求める声が上がっています。

 

まとめ

ベトナムにおける新化学品法の施行に続き、現地の通関現場では「100%の成分申告」を巡る法執行のばらつきが浮き彫りになり、実務上の大きなボトルネックとなっています。

現在は税関総局が地方支局へ法的根拠の説明を求めている段階であり 、今後、国全体で統一された公式なガイドラインが発行されるかどうかが注視されます。ベトナム向けに化学品や原材料を輸出している日本企業は、現地の通関リスクを回避するため、現地の輸入業者やパートナーを通じて現場の最新状況を密に確認することが推奨されます。

 

最新情報一覧はこちらより!