2026年6月3日、欧州化学品庁(ECHA)は、PFAS(ペルフルオロアルキル物質およびポリフルオロアルキル物質)の包括的な制限提案をめぐり、社会経済分析委員会(SEAC)が実施したドラフト意見へのパブリックコンサルテーション(意見公募)の結果概要を公表しました。

60日間の募集期間中に、世界中の3,200以上の組織や250名超の個人から、計3,511件に上る膨大なコメントが寄せられ、産業界全体からの関心の高さが改めて浮き彫りとなりました。

 

コメントの提出元と関心の高い産業分野

寄せられたコメントの大部分は産業界(製造業者や業界団体)からのものでした。特定の産業分野を対象としたアンケート調査においては、以下の分野に回答が集中しています。

  • エレクトロニクス・半導体分野:12.7%(最多)
  • フッソ系ガス(Fガス)の用途:6.6%
  • エネルギー分野:6.2%
  • 輸送(自動車・航空等)分野:6.1%
  • 潤滑剤分野:5.3%

特に半導体や電子部品業界からのフィードバックが突出しており、PFASの代替が技術的に極めて困難な現状を強く訴える内容が中心となっています。

 

主な意見の内容

 ECHAによると、提出された意見の大部分は、以下のような「社会経済的影響」に関する具体的な懸念とデータでした。

  • 代替技術の可用性: 完全に機能が同等となる代替品が存在しない、または開発途上である点。
  • 猶予期間(移行期間)の長さ: 代替化を進めるために、提案されている期間よりも長い猶予が必要であるという要望。
  • コストと競争力: 規制遵守に伴う莫大なコスト、および欧州企業のグローバルな競争力への潜在的な打撃。

 

今後のスケジュール

  • 2026年末まで: SEACが今回のコンサルテーション結果を精査し、最終意見(Final Opinion)を採択することを目指します。
  • その後: すでに2026年3月に最終意見を採択しているリスク評価委員会(RAC)の評価と、今回のSEACの評価を合わせ、欧州委員会(EC)へ正式に提出されます。これらをベースに欧州委員会が最終的な法案(規制令)の草案を作成し、REACH委員会での議論・投票へと進みます。

 

まとめ

欧州の包括的PFAS制限案において、半導体・電子部品、新エネルギー、航空宇宙といった最先端のハイテク分野では、依然として「完全な代替品が存在しない」ことが最大の課題となっています。

SEACが最終意見をまとめる2026年末に向けて、規制の「例外(適用除外:Derogation)」がどの程度認められるか、あるいはどの程度の移行期間が設定されるかが最大の焦点となります。欧州市場に部材や製品を供給している日本企業、特に半導体・電子部品、自動車関連の事業者様は、自社製品におけるPFASの使用状況の棚卸しと、代替技術の進捗評価を継続することが推奨されます。

 

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