欧州委員会(EC)は、REACH規則の附属書XVII(制限リスト)を改正し、高蓄積性・高残留性を有する「水添テルフェニル(Hydrogenated Terphenyls)」の製造、上市、および使用を厳格に制限する規則案を世界貿易機関(WTO)に通報しました。
本改正案が正式に採択・施行された場合、工業用の熱媒体油やプラスチックの可塑剤などとして使用されてきた水添テルフェニルは、欧州市場において事実上の使用禁止に近い制限を受けることになります。
規制の背景と目的
水添テルフェニルは、その優れた熱安定性から、化学プラント等の高温熱媒体(ヒートトランスファーオイル)や、プラスチック、塗料、接着剤、シーリング材の可塑剤・添加剤として広く汎用されてきました。
しかし、環境中での分解が極めて遅く、生物の体内に蓄積しやすい特性(vPvB)を持つため、欧州化学品庁(ECHA)は2018年に同物質をSVHC(高懸念物質)に指定していました。今回の制限リスト(附属書XVII)への追加は、認可(附属書XIV)の仕組みよりも迅速かつ包括的に、環境および人へのリスクを低減させることを目的としています。
主な制限内容(案)
- 製造・使用・上市の禁止: 水添テルフェニル単体、またはこれを重量比 0.1%以上 含む混合物および成形品(製品)の製造、欧州域内での使用、市場への供給(上市)が禁止されます。
- 適用除外: 閉鎖系システム(厳格に制御された密閉装置内)での熱媒体としての使用など、一部の特定の工業用途については、一定の条件下で例外措置や長めの猶予期間が検討されています。
今後のスケジュール(予定):
- 発効: 官報公布の20日後(2026年後半~2027年頃の採択・公布が見込まれます)。
- 全面適用: 改正規則の発効から 24ヶ月(2年) の猶予期間を経て適用されます。
まとめ
欧州における水添テルフェニルの新たな制限案は、特にプラント設備等の熱媒体油を製造・輸出している企業や、欧州向けのプラスチック成形品、塗料、接着剤を扱う事業者にとってサプライチェーン上の大きな課題となります。
制限値が「0.1%」と厳格であるため、対象物質を意図的に使用している場合は、2年の猶予期間内に代替品への切り替えを完了させる必要があります。欧州市場に関わる企業は、今後の官報公示による正式な適用開始日を注視し、自社製品や使用部材における水添テルフェニルの含有状況の確認を進めることが推奨されます。
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