2025年1月、国際電気標準会議(IEC)と国際標準化機構(ISO)が共同で策定した国際規格「IEC/ISO 82474-1」が正式に発行されています。この規格は、製品中に含まれる化学物質や材料の情報を国際的に標準化し、サプライチェーン全体で一貫して伝達することを目的としています。対象となる産業分野は電気・電子、自動車、通信、化学、航空宇宙など多岐にわたり、今後の製品環境情報管理の基盤規格として注目されています。

IEC/ISO 82474-1では、①規制物質の有無、②構成材料の組成、③製造工程で使用された化学物質、④材料分類、⑤Yes/No形式での質問応答といった、5種類の材料宣言形式が定義されており、製品や用途に応じた柔軟な情報提供が可能です。加えて、再利用性や再生資源の含有率など、サーキュラーエコノミーに関する情報も報告対象として組み込まれています。情報交換の形式としては、XMLおよびJSONに対応し、REST APIによるシステム連携も可能とされています。これにより、製造、調達、物流など各工程でのデジタル化や自動処理に対応でき、既存のIEC 62474規格との互換性も確保されています。

国内では、このような国際的な動きと並行して、経済産業省が推進する「Chemical and Circular Management Platform(CMP)」の構築が進められています。その一環として、2025年4月23日にはJAMP(アーティクルマネジメント推進協議会)主催によるCMP説明会が開催されました。

DGERでは、これらの制度整備に対応すべく、日本国内における化学物質情報伝達スキームであるChemSHERPAの普及支援を通じて、企業の情報整備やコンプライアンス負担軽減に引き続き取り組んでいます。