制定の背景と法の位置づけ
カナダ《禁止特定有毒物質規則2012(以下、本規則)》は、カナダ環境保護法1999(CEPA)に基づく下位法令であり、特定の有毒物質がカナダ国内で製造・使用・販売・提供・輸入されることを原則禁止することで、環境と国民の健康を保護することを目的としています。
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公布日:2012年12月14日
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施行日:2013年3月15日
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CEPAの「附表1」に記載された有毒物質を対象とする規制措置です。
主な規制物質(電子・自動車業界が特に必要な22物質)
物質名 | 規制内容 |
十二塩素五環癸烷(ミレックス) | 全面禁止 |
多臭素化ビフェニル(PBB) | 全面禁止 |
多塩素化トリフェニル(PCT) | 全面禁止 |
二塩化メチルエーテル(BCME) | 全面禁止 |
クロロメチルメチルエーテル(CMME) | 全面禁止 |
o-(4-ニトロベンジル)オキシム | 全面禁止 |
N-ニトロソジメチルアミン(NDMA) | 全面禁止 |
六塩化ブタジエン(HCBD) | 全面禁止 |
DDT | 全面禁止 |
六塩化ベンゼン(HCB) | 全面禁止 |
多塩化ナフタレン(PCN) | 全面禁止 |
短鎖塩素化パラフィン(SCCP) | 全面禁止 |
六臭素化シクロドデカン(HBCD) | 発泡ポリスチレン用途含め禁止 |
多臭素ジフェニルエーテル(PBDEs) | 一部用途(製品中)を除き禁止 |
ベンジジンおよびその塩 | 一部用途を除き禁止 |
2-メトキシエタノール(2-ME) | 限定用途のみ許容(0.5%未満) |
PFOSおよびその前駆体 | 特定用途および10ppm未満の泡消火剤のみ許可 |
PFOAおよびその前駆体 | 特定用途のみ許容 |
長鎖パーフルオロカルボン酸(LC-PFCAs) | 特定用途のみ許容 |
ペンタクロロベンゼン | 特定用途のみ許容 |
テトラクロロベンゼン | 特定用途のみ許容 |
トリブチルスズ化合物 | 特定用途のみ許容 |
CEPA(カナダ環境保護法1999)との関係
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本規則は**CEPAの附表1(有毒物質リスト)**に基づいており、同リストに追加された物質に応じて随時更新されます。
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規制対象物質の評価や科学的根拠、リスクマネジメント措置はCEPAの枠組みで実施されます
最新の法改正動向(2022〜2025年)
年月 | 内容 |
2022年5月 | 《禁止特定有毒物質規則2022案》が発表され、新たにDP(得克隆)・DBDPE(十臭素ジフェニルエタン)を追加提案 |
2025年2月26日 | 命令 SOR/2025-27 により、DPおよびDBDPEがCEPA附表1(第2部)に正式追加 → 今後、規則に組み込まれる法的土台が整備されたことを意味します |
企業が取るべき対策
✅ 法規制の継続モニタリング
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CEPAおよび関連規則の改正動向を定期的にチェック
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物質リストや使用制限の変更に迅速に対応できる体制構築
✅ サプライチェーン調査と代替検討
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原材料・部品に含まれる有毒物質の使用状況を調査
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禁止対象の物質は代替品の導入または製造・輸出対象製品からの除去
✅ 製品設計・品質管理の強化
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製品企画段階から有害物質非使用の設計を推進
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必要に応じて検査・分析レポートの取得(ISO/IEC 17025認定機関が推奨)
DGERでは、関連物質の分析、リスク評価など各種サービスを提供しております。ご不明な点やご相談は、お気軽にお問い合わせください。