ウクライナ環境保護・自然資源省(MEPR)は2025年6月5日に、「同一化学物質の登録申請における共同情報提出規則」の草案を発表し、意見を募集中です。本草案は、ウクライナ版REACH制度の実施に不可欠な細則であり、EU REACHとの整合性確保を目指しています。

主な内容

  1. SIEFの設立
    同一物質を登録する企業は、共同で「物質情報交換フォーラム(SIEF)」を結成または参加する義務があります。 SIEFの役割は、データ共有の促進、登録内容の一貫性確保、動物実験の重複回避などです。

  2. 先導登録者の選出
    SIEF内で1社を先導登録者に選出し、以下の業務を担います:

    • 代表として登録情報の共同提出

    • 化学物質情報(名称・識別子など)の管理

    • 登録プロセス全体の調整と提出情報の正確性保証

    • SIEF設立後10営業日以内に「共同通知」をMEPRに提出

  3. 共同通知の内容
    虚偽広告と認定された場合、「広告法」第55条により、広告費用の3倍から5倍の罰金、または広告費用が算出できない場合は20万元から100万元の罰金が科される可能性があります。

業界の懸念と課題

  • 簡易登録との関係が不明確:EU REACH登録済み企業に対する簡易ルートでもSIEF参加が必要かどうか、明確化が求められています

  • 情報要求の過剰さ:草案では初期段階で詳細データの提出を求めており、EUモデルとのずれが懸念されています。

  • 責任と更新義務:先導登録者は全データの正確性について法的責任を負い、内容変更時には10営業日以内の報告が義務付けられています。

まとめ

この草案は、企業の登録負担軽減と動物実験の削減を目指す前向きな動きですが、内容の曖昧さや過剰な要件は課題です。最終決定前に、MEPRによる明確なガイドラインの整備が求められています。

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