米国環境保護庁(EPA)は、有害物質規制法(TSCA)第6条に基づく優先化学物質の安全性評価の一環として、ジクロロベンゼン類(DCBs)に関するドラフトリスク評価書(Draft Risk Assessments)を公表しました。
対象となるのは、パラジクロロベンゼン(p-DCB)、オルソジクロロベンゼン(o-DCB)、メタジクロロベンゼン(m-DCB)の3物質で、製造・加工・使用・廃棄にわたる各種用途において不合理なリスク(Unreasonable Risk)が存在すると結論付けられました。
各物質の主な評価結果とリスクの概要
・パラジクロロベンゼン(p-DCB):
衣料用防虫剤、トイレ用消臭剤、プラスチック製造(PPS樹脂等)の中間体として広く使用されています。EPAは、製造・加工現場の作業者だけでなく、一般家庭で消臭剤や防虫剤を使用する消費者・居住者に対しても、発がんリスク(肝臓・腎臓等)および非発がん性の健康ハザードが生じていると判定しました。
・オルソジクロロベンゼン(o-DCB)およびメタジクロロベンゼン(m-DCB):
工業用溶剤、脱脂剤、農薬・医薬品の中間体として使用されています。主に作業現場での吸入ばく露や経皮接触により、肝臓・腎臓・中枢神経系への影響(非発がんハザード)による不合理なリスクが指摘されています。
今後の動向と企業への影響
本ドラフト評価書は、60日間のパブリックコメント期間および科学諮問委員会(SAB)のピアレビューを経て最終決定されます。
リスク評価が最終確定した場合、EPAはTSCA第6条に基づき、「特定の用途の禁止」「最終製品における含有濃度の制限」「作業場ばく露限界値(WEL)の設定」といった強力なリスク削減ルールを順次提案・施行することになります。
まとめ
米国TSCA第6条に基づく既存化学物質のリスク評価は、確定後に製品の製造禁止や大幅な使用制限へと直結する非常に重要な手続きです。
特にパラジクロロベンゼン等は、日用品(消臭剤・防虫剤)から電子材料用樹脂の原料まで幅広いサプライチェーンに組み込まれています。米国向けに製品や化学原料を供給している事業者は、自社製品におけるジクロロベンゼン類の含有有無や不純物レベルのスクリーニング分析・精密定量を早期に行い、今後の規制制定に向けたリスク点検を進めることが推奨されます。