欧州委員会(EC)は、玩具安全指令(2009/48/EC)の附属書IIを改訂する指令案(Draft Directive)を公表しました。
本改訂案では、アレルゲン性香料やビスフェノールA(BPA)、フェノール、ベンズイソチアゾリノン(BIT)といった特定の化学物質について制限値を大幅に厳格化する内容が盛り込まれており、子供向け製品を欧州へ供給する事業者に直接的な影響を及ぼします。
主な改訂ポイント
・アレルゲン性香料「リズメラール」の使用禁止
これまで条件付き(ラベル表示義務)で許可されていた香料成分リズメラール(Lilial; CAS 80-54-6)について、生殖毒性区分1Bに分類されたことを受け、使用禁止物質リストへ移管されます。
・ビスフェノールA(BPA)溶出限界値の劇的な引き下げ
EFSA(欧州食品安全機関)による耐容量再評価に基づき、BPAの溶出限界値が従来の0.04 mg/Lから0.005 mg/L(約87.5%削減)へと厳格化されます。試験には最新の標準規格「EN 71-19:2025」が適用されます。
・フェノールおよびBITの個別制限値と新試験規格の導入
防腐剤や樹脂原料として使用される物質に対し、新規格(EN 71-17、EN 71-18)に基づく以下の制限値が設定されます。
→フェノール: ポリマー材料における溶出限界 5 mg/L / 防腐剤としての含有限界 10 mg/kg
→BIT(ベンズイソチアゾリノン): 水性玩具材料における含有限界 5 mg/kg
スケジュールと企業の対応
現在本案はパブリックコンサルテーションを実施中(2026年10月10日まで)であり、2026年第4四半期に正式採択・発効される見込みです。加盟国での国内法化を経て、公表の12ヶ月後から本格適用されます。
まとめ
欧州における玩具・子ども用製品の化学物質管理は、従来の特定物質の「有無」から、より低濃度・超高感度な「定量分析・溶出管理」へとシフトしています。
特にビスフェノールA(BPA)の溶出限界値の大幅引き下げや、新適用規格(EN 71-17/18/19)への移行は、製品の処方見直しだけでなく、新規格に対応した分析・試験データによる適合証明を不可欠とします。欧州向けに玩具、文具、子供用日用品などを輸出するメーカーは、自社製品の精密スクリーニングを早期に進めることが推奨されます。