欧州委員会(EC)は、EU POPs規則(残留性有機汚染物質規則:(EU) 2019/1021)の附属書Iを改正する委任規則を採択しました。
今回の改正により、長鎖ペルフルオロカルボン酸(C9–C21 PFCAs)、その塩および関連化合物がPOPs規則の禁止物質リスト(附属書I)に追加され、EU域内での製造・上市・使用が原則禁止となります。本規則は2026年12月16日より適用開始されます。
規制対象と意図しない不純物(UTC)の制限値
本規制の対象は、直鎖および分枝鎖のC9–C21 PFCA、その塩類、ならびに分解・代謝によってC9–C21 PFCAを生成する関連化合物全般です。非意図的微量汚染物質(UTC)閾値: 物質、混合物、または成形品(製品)中に不可避的に含まれる場合、C9–C21 PFCA関連化合物の合計濃度が 0.26 mg/kg(260 ppb)以下 である必要があります。
一部用途に対する経過措置(猶予期間)
フッ素系材料やエレクトロニクス用途などの一部特定用途については、段階的な経過措置が設定されています。
- フッ素樹脂・フッ素ゴム(ペルフルオロアルコキシ基含有): 2030年12月16日までの経過措置(C9–C14は0.1 mg/kg以下、C15–C21は15 mg/kg以下)適用後、より厳しい基準へ完全移行。
- 半導体および電子機器向けスペアパーツ: C9–C14関連物質は2030年12月30日まで、C15–C21関連物質は2031年12月16日まで猶予。
- 消火薬剤(泡消火設備): 汚染除去済みのフッ素系泡消火薬剤中の合計含有量は 10 mg/kg 以下に抑える必要あり。
企業に求められる実務上の対応
これまでREACH規則の附属書XVII(Entry 68)で管理されていたC9–C14 PFCAの制限がPOPs規則へ統合・拡大された形となるため、サプライチェーン全体のスクリーニングが急務です。
- 原材料・成形品の含有スクリーニング: フッ素系塗料、撥水材、フッ素ゴム・樹脂部品、電子部材等にC9–C21 PFCAが意図的・非意図的に含まれていないか精密定量分析を行う。
- 適用時期の確認: 2026年12月16日という迫った適用開始日に合わせ、EU向け出荷製品のコンプライアンス状況を再点検する。
まとめ
EUにおけるフッ素系有機化合物(PFAS)への規制の網は、REACH規則からより厳格なPOPs規則(原則全面禁止)へと順次一元化・強化されています。
特に今回設定された0.26 mg/kg(260 ppb)という不純物閾値は極めて低く、客観的な高精度機器分析(LC-MS/MS等)による含有証明がなければ、EU市場での製品不適格リスクが生じます。欧州へ製品・化学資材を出荷しているメーカーは、早急に精密スクリーニングを依頼・実施することが強く推奨されます。