新たに対象となる6物質と管理基準
草案で指定された6物質および提案されている規制濃度基準は以下の通りです。
食品安全リスク防止(不正混入防止):
トルイジンレッド(Toluidine Red / CAS: 2425-85-6): 管理濃度 1%以上
パラレッド(Para Red / CAS: 6410-10-2): 管理濃度 1%以上
追加表示義務: 容器・包装に「食品及び飼料への使用禁止」の警告表示を義務化。
内分泌かく乱作用への懸念(民生・消費者リスク):
ビスフェノールB(BPB / CAS: 77-40-7): 管理濃度 1%以上(樹脂・プラスチック原料等)
ビスフェノールF(BPF / CAS: 620-92-8): 管理濃度 1%以上(エポキシ樹脂、塗料、接着剤等)
不適切使用・転用リスクの管理強化:
MMMP(CAS: 71868-10-5): 管理濃度 1%以上(UVインク・コーティング等の光開始剤)
ガンマ-ブチロラクトン(GBL / CAS: 96-48-0): 工業用溶剤、電子化学品、精密洗浄剤。
20%以上90%未満: 容器・包装のGHS表示およびSDSの整備が主。
90%以上: 運作記録の作成、定期申報、運作許可等の全面的な管理を適用。
追加表示義務: MMMPおよびGBLには「工業用途限定」の表示が義務化。
事業者に課される管理義務と段階的移行スケジュール
草案に基づき、既存の取扱事業者には以下の段階的スケジュールで対応が求められます。
2027年1月1日から: 運作記録の作成・定期申報の開始、運作許可証等の申請開始。
2028年7月1日まで: 容器・包装・保管場所の標示(ラベル)の貼付完了、台湾基準SDSの常備、運作許可証等の取得完了。
企業に求められる具体的対応
台湾向けに塗料、インク、接着剤、電子材料、溶剤等を輸出している日本企業は、以下の準備を迅速に進める必要があります。
製品中の含有濃度スクリーニング: 自社製品中にBPB、BPF、MMMP、GBLなどが意図的添加または不純物として管理濃度(1%や20%)を超えて含まれていないか、LC-MS/MSやGC-MS等による精密定量分析を行う。
台湾GHSラベルおよびSDSの改訂: 対象物質を含む場合、台湾TCSMCAの最新要求に沿った中国語(繁体字)ラベルを作成し、「食品・飼料使用禁止」「工業用途限定」などの特殊警告表示を組み込む。
現地輸入業者(インポーター)との連携: 2027年以降の運作申報や許可証取得が円滑に行えるよう、成分組成や客観的な分析証明データを現地パートナーへ共有する。
まとめ
台湾における化学物質管理は、従来の特定毒物だけでなく、ビスフェノール類やGBLのように産業界で汎用される物質に対しても「懸念化学物質」として管理の網を急速に広げています。
特にBPF/BPBの1%基準やGBLの20%/90%といった段階的規制への適合には、客観的な精密化学分析による成分定量データの裏付けが不可欠です。台湾市場へ化学品、塗料、樹脂、電子材料を出荷しているメーカーや商社は、正式公布に先立ち、早期に製品スクリーニングと法規制適合点検を進めることが強く推奨されます。
