違反が発生する「3つの主要原因」と提示された対策
事例集では、企業で違反が発生する原因を大きく3つのパターンに分類し、それぞれに対する具体的な社内管理策を提示しています。➀ 化審法に対する理解不足・知識不足
- 主な原因: 構造が類似する既存化学物質と勘違いしていた、新規届出の対象であるという認識がなかった、特定の担当者のみに規制業務が偏っていた。
- 対策: 定期的な社内教育を実施し、品質管理部門と営業・購買部門が連携してチェックする体制を構築する。
- 主な原因: 海外の調達先が日本の化審法を理解しておらず成分変更を連絡してこなかった、工場が独断で製造プロセスや原料を変更した、製造・輸入数量の一元管理ができていなかった。
- 対策: 海外取引先に対して日本の化審法規制(数量制限や含有率制限)を事前に説明し、品質管理部門が介入しない工程・原料の改定を禁止するルールを設ける。
③長期にわたる未確認・不検出(放置)
- 主な原因: 長年輸入・使用している既存品だからと化審法ステータスの再確認を行っていなかった、調達先変更時に法規制適合性を再検証しなかった。
- 対策: 定期的な内部監査を社内規定に組み込み、現在取り扱っている化学物質の化審法ステータスが最新の基準で妥当であるかを定期点検する。
化学品取り扱い企業に求められる実務上の対応
化審法違反は、単なる行政手続きの遅れにとどまらず、自社製品の出荷停止、供給ラインの停止、顧客からの信頼喪失や多額の損害賠償リスクに直結します。
- リードタイムを考慮した届出計画の徹底: 通常届出には事前審議から判定まで約4ヶ月、少量新規等の確認手続きでも約1.5〜2ヶ月を要します。届出や確認結果が出る前に製造・輸入を開始することは不可能です。
- 製品・原材料の定期的な同定・スクリーニング分析: 自社で把握している化学構造やCAS番号が、実際の供給品(特に海外輸入化学品)と合致しているか、GPC分析(ポリマー判定)や構造解析(NMR、FT-IR、MS等)により定期的に検証する。
まとめ
今回の3省による違反事例集の公開は、化審法コンプライアンスに対する監視の目がさらに厳しくなっていることを物語っています。
「知らなかった」「海外サプライヤーからの情報が違っていた」という理由は行政上認められず、違反が発覚すれば即座に事業停止のリスクを負うことになります。日本向けに化学品、材料、部材を供給するメーカーや商社は、既存の取り扱い物質を含めて化審法ステータスの点検を行い、客観的な化学分析データによる不純物・構造の確認を進めることが強く推奨されます。
